ペルシア帝国の都ペルセポ

 リス、かつての世界の半分、   イスファハン

 北と西には4,000メートル

 の山々が連なり、

 東部に広大な砂漠が広がる

四季の美しい風景の中で、ペルシア文化、独自のイ

スラム文化を育んで来た~

出かけよう!イスラムの

教えのもと心温かき人々

が平和に暮らすイランへ



モスクとバザール


イランの古い町(旧市街)の基本構造

イランでの昔ながらの町の構造として、町の中心にはバザール、モスク、そしてハマームがある。 そして、それらの周囲に、マドラサ(学校)や隊商宿が造られている。 バザールは、市場、モスクは礼拝堂、ハマームはお風呂であるが、中世のヨーロッパの町の構造とも似ている。 中西ヨーロッパの町にも、町の中心に、市場、教会、泉(井戸)があった。 古今東西、人々にとって必要なものとはどこでも同じなのでしょう。 イランの古い町(旧市街)を見学する時に、町の構造を頭に入れながら見学するとよいのではないでしょうか。

バザール  

同じイスラム圏でも、アラブ人がスークと呼ぶ市場は、イランではバザールと呼ばれる。 バザールは屋根つきでレンガで出来たドームが連なって屋根になっており、夏の暑さ、冬の雨風を防ぐために工夫されている。 バザールに入ると、ドームの連なった天井に小さな明り取りの穴が開いている。 うす暗く、細い通路が続いており、その通路の両側には、小さな奥行きも狭い店がぎっしりと並んでいる。 迷路のようである。 店は1階のみで2階は無い。 奥にも部屋は無く、店主は、バザールの外で住んでいる。 バザールではあらゆる日常品が、売られているが、生鮮食料品は、別の場所や青空市場で売られることが多いのでバザールにはない。 バザール内は、区画整理されていて、同じ商品を扱う店が同じ区画に集められている。 これは、買う側にとっては同じ区画の中に、同じ品物を扱う店が沢山集まっているので、商品の比較が出来て便利である。 店には壁から天井まで、狭い店内にぎっしりと商品が置かれている。 狭いスペースになるべく多くの品物をならべることがバザールでの商品陳列方法らしい・・・・・  エスファファーンのバザールなどには、日用雑貨だけではなく高価な貴金属、あるいは観光客相手のお土産を販売している店もある。 これらの店では、値引き交渉もできるが他の観光先進国ほどの値引きは今のところはない。 バザールの細い迷路のような通路を歩いていると、その先に突然明るく、広々とした空間が開けることがある。 この空間は、隊商宿(キャラバンサライ)と呼ばれるものの中庭である。 隊商宿は、ほぼ立体正方形をしていて、中庭の周囲を沢山の部屋が取り囲んでいる。 これらの部屋は、宿舎、事務所、倉庫などとして使われていた。 その昔は、地方から運ばれてきた商品がその中庭に集められ、商人達の間で品物の売買取引が行われた。 現在の隊商宿の中庭には、池や噴水、木々が植えられ、バザール散策途中にちょっと一息つくにはよい空間となっている。 バザールの中には他にもモスク、マドラサなどがあり、それらの中に入るとバザールで買い物をする人々の喧騒がうそのように静かである。商取引きの空間と宗教的空間が同じ場所にあるのはなりやら不自然にも思うのだが・・・

モスク  

モスクはイスラム教徒が礼拝を行う建物であるが、イランのモスクの特徴にはドーム・タイル・イワーンの3つが上げられる。 ほとんどのモスクにはこの3点セットが見られる。 エスファファーンのイマームのモスクを見てみると、四角形の中庭はその周囲をアーチの回廊で取り囲まれているが、その回廊は、青いタイルで覆われている。回廊は2層になっていて四辺の中央にそれぞれ「イワーン」と呼ばれるおおきなアーチが立っている。 南側の一番おおきなアーチ(イワーン)の両サイドには細いミナレットが2本建てられている。 メッカの方向を示す壁のへこみ(ミフラーブ)がある礼拝室の上には、青いタイルで覆われた大きな高いドームが上がっている。 イワーンもドームもその起源は、ササン朝ペルシアの時代で、ドームはゾロアスター教の神殿で用いられていたもので、イワーンは、 王宮の建物に王様の権力の象徴として用いられていた。 タイルでモスクの壁を覆うという習慣は、14?15世紀ころより行われるようになった。 外壁やドームをタイルで覆う手法は、中央アジア、イラン、アフガニスタンなどのモスクに見られる特徴でペルシア文化圏で見られる。 トルコでは、タイルはほぼ建物の内部のみに使われ、シリア・エジプト等のアラブ世界ではタイルは使われない。 モロッコではタイルも使われるが色・デザインは、イランとは随分違っている。 特に「青」を多く使うのは、ペルシア文化圏の特徴である。 また、モスクはその機能によって2種類に分けることが出来る。 「金曜日のモスク」と一般のモスクである。 金曜日のモスクには、金曜日の大礼拝の時にイマームが説教を行う説教段(ミンバル)がある。多くの人々が集まるため規模も大きい。 人々の集会所のような役目もある。 それ以外が一般のモスクで、バザールや住宅地のあちらこちらにある規模の小さなモスクである。集団礼拝のためのモスクではなく、日常の礼拝の時に人々が利用する小規模モスクである。 バザール(商業)とモスク(宗教)という一見関係の無いように思われる2つのものであるが、実はこの二つはイスラムの喜捨(ザカート)の習慣から結びついている。 これは、富める者がその財産の一部を寄進する制度でもあるが、経済的に成功した人々がその財産の一部をモスクやマドラサなどの宗教的建物の建設に寄付をすることがよくあった。 モスクが建設されるとその建物の管理が必要になる。 管理運営にはまた資金が必要で、その資金調達のためにバザール、隊商宿などの商業施設をモスクと一緒に建設する方法がとられたのである。 以前、バザールの中で店を開くにはそのテナント料を払わなければならなかったし、隊商宿の利用にも料金を払った。こうして得た利益をモスクの運営管理費として利用していたのである。 近年では、こうした昔からの町の構造には変化が見られるが、イランの人々にとってはバザールとモスクはその生活からは切り離せないもののようである。