ペルシア帝国の都ペルセポ

 リス、かつての世界の半分、   イスファハン

 北と西には4,000メートル

 の山々が連なり、

 東部に広大な砂漠が広がる

四季の美しい風景の中で、ペルシア文化、独自のイ

スラム文化を育んで来た~

出かけよう!イスラムの

教えのもと心温かき人々

が平和に暮らすイランへ



ゾロアスター教


ゾロアスター教

イランにイスラム教が広がる前、紀元前1,200年から1,000年頃、イラン高原東北部に住む、ゾロアスターによってとなえられた。当時、彼の考えは革新的なもので、ユダヤ教より先に天地の創造主である神への信仰、死後の審判と天国の存在。世界の終わりに現れる救世主などへの信仰をといた。善霊アフラ・マズダと悪霊アーリマンがこの世の中で対立しているという二元論をとなえた。人間は、自分の意志に基づいてこの世の中の善と悪の戦いにおいてこのどちらの側につくことも可能であるが、悪の側についた者は最後の審判で罰を受ける。ゾロアスター教では、火・水・大地を神聖視するため拝火教と呼ばれたり、風葬、鳥葬という独特の習慣を生み出した。 

ゾロアスターは、アフラ・マズダを正義の神・全知全能の創造神とするが、この考えは、それより前にすでにオリエントの地域に存在していた。ゾロアスターはそれを故郷のメディアで継承した。彼は、アフラ・マズダの啓示により、善と悪の対立、最後の審判、世界の終焉、善の神の天使の働きなどを系統的に提示した。これはちょうど同じ時代の仏陀の考えと同じ救済宗教の考え方である。ゾロアスターは、メディアを追われてしまうが、ダリウス大王の父、ヒュスタス・ぺスの保護を受け、その後、光の神ミスラや水の神アナヒタも採用し、本来のゾロアスター教よりやや遠ざかったりもしたが、キュロスにより、囚われの身から開放されたヘブライ人達によってゾロアスター教の二次元的終末論が採用された。それにより、モーゼや預言者達の一神教が確立し、ユダヤ教の成立へと進んでいた。 ゾロアスター教を中心とするイランの宗教文献は、ササン朝の王達によって4世紀から5世紀に「ゼンド・アヴェスタ」として聖典化された。

ゾロアスター教は、アケメネス朝ペルシアが西アジアを統一すると、その国家の信仰の中心となりペルシア人の思想を支配した。 イラン人の宗教として、7世紀以降のイスラムの侵入までイランの人々の信仰のよりどころとなっていた。イスラムがイラン国内に入り、各地で大発展を遂げると次第にゾロアスター教は少数派となり消滅していった。   

ヤズド

ヤズドは、イラン南東部にあるオアシスの町である。 人口十数万人の中規模の町で、小麦、野菜、ピスタチオやアーモンドなどのナッツ類が生産されている。 ゾロアスター教徒が集団で住んでいたイランでは最後の土地だった。 イスラムが大多数となった時代には、ゾロアスター教徒に対する職業上での差別や居住制限は厳しいものであった。 19世紀の中ごろ、ヤズドでは、ゾロアスター教徒は、普通のイラン人の着る服は禁じられ、生成りの染色していない物しか身に付けられなかった。 また、バザールには、その一区域にしか入ることはできなかったし、馬に乗ることを禁じられ、イスラム教徒には物を販売することができなかった。  しかし、19世紀から20世紀にかけてインドに住むパールスィが経済力を持つようになり、イギリスの後ろ盾を受けてイランの中央政府に圧力をかけてゾロアスター教徒たちの状況も改善された。 イランではじめての普通教育・・・特に女子の普通教育はヤズドのゾロアスター教徒の間で始まった。教育を受けて職業の選択の自由を得たゾロアスター教徒達はテヘランへと出て行った。

ヤズドに住むゾロアスター教徒達は独特の風習を持っている。彼らは、遺体を風葬、または鳥葬という独特の方法で葬った。彼らは、火や水、大地を神聖なものとみなしたので、死体でそれらが汚されることを嫌った。 彼らは、町のはずれの岩山などの上に遺体を置き、鳥に食べさせたり、自然の乾燥に任せて処理をした。 その遺体を置いた塔の様な形のものがダフメで、通称「沈黙の塔」と言われる塔である。ヤズドの町のはずれにも有る。

女性の服装では、シャルヴァールというモンペのようなズボンをはき、カミースという丈の長いブラウスを着ている。 イスラム教徒のようにスカーフなどで髪の毛を覆い隠す習慣は無いが、現在はイスラムの習慣に従いスカーフを巻いている。またスカーフの模様も小さな花柄模様が多いようである。

今でも多くのゾロアスター教徒の住むヤズドでは、ゾロアスター寺院・・・建物自体は新しいが、1,000年以上絶えることなく燃え続ける聖なる火、ゾロアスターの肖像などが展示されている。 沈黙の塔・・・小高い丘の上に、石作りの塔がある。鳥葬の場所である。レザー・シャーが20世紀初頭に鳥葬を禁止してからゾロアスター教徒も土葬になった。 また、ヤズド近郊には、チャク・チャクというゾロアスター教の聖地が有る。毎年6月下旬に各地よりゾロアスター教徒が巡礼にやって来る。